尻力み
「尻力み」と言っても排泄行為ではない。力むと痔に悪い。全体では 「ラジオを聴けば 疎ましや ラ抜きトカトカ 尻力み」であったかと思う。あるエッセイで目にしたことばである。
ラジオのNHK第二で「英語で読む村上春樹」という番組がある。あった。(この駄文を書きかけてPC上に放置している間に2016年度限りで終了した。)この番組については以前一度触れたことがある。
原作が日本語であるものをワザワザ英語で読まなくてもよいだろうと思う。しかし聴いてみると、番組のコンセプトは面白い。ただリアルタイムで聴くには冗長で辛気臭いので録音しておいて名古屋―東京の列車(ケチな鍋屋町はできる限り新幹線に乗らない)などで暇潰しに聴く。テキストは最初のうちは買うたが、あまりにも高いので1年で止めた。本当は途中でやめたかった、、、予約購読なんぞは書店に勧められてもするもんではない。
人気作家であり、私も幾つかの作品を(わざわざ自分で買うほどではないので某所で発見すると借りて)読んだが、現役作家の作品をわざわざ放送で取り上げてヨイショするのはいかがなものか?
この番組の初年度はなんとポーランド、ロシア文学の大家沼野充義氏が解説進行の担当だった。え?なんで?と思ったが、他言語の文学作品にも非常に詳しい方で、英語以外への翻訳の話もあり面白かった。
こういうマイナーな言語(ポーランド語ましてやロシア語は話者が非常に多い大原語ではあるが、日本での状況はそうであろう)の専門家は英語も英語専門家と同等あるいはそれ以上にできないと商売にならないようだ。故米原万里(ロシア語同時訳者、作家)のエッセイには、ロシア語の通訳をする際、特に専門用語を調べるにあたって英語が缺かせない様子が面白く書かれている。
相手役は村上作品の英訳をしている米国の学者(J.ルービン)の教え子であった米国人で、お二人は絶妙のコンビであった。もちろん番組は日本語で進行する。
その後、解説進行の担当は段々と小物、失礼!気鋭の若手!に替ってきた。
もちろん若手は若手で良いところがある。昨年度の担当はバイリンガル(あるいはほとんどそうである)お二人であった。
例えばこんな例があった。最近の日本の若い人には「良い、素晴らしい」という意味で何でもかんでも「ヤバイ」という人が居て、ちょっと吃驚するのだが、英語でも同様に何についても「intense!*」というの人が居るそうだ。これはその担当者の家族の例を挙げての説明であった。普通に英語の読み書き会話を勉強してもなかなか分らない現象だろう。
あるいはこんな解説もあった。日本語で半月というが、英語ではhalf a monthというのは勿論文法的に正しく、英米人とのコミュニケーション上なんの支障もないのだが、彼らは通常そういう言い方はせず、two weeksという。つまらない例かもしれないが、なかなか気が附かないことであろう。(鍋屋町が鈍いだけ?)
そういう点で面白い番組であることは変わりないかった。ただ、今16年度のシリーズは聞きとおすのに相当に忍耐を要した。喋り方が耳障りなのである。XX大学准教授という肩書の方なのに、喋り方が「、、、、ワー、 、、、、デー」なのである。
冒頭のエッセイで言う「尻力み」とはこの喋り方である。言語学、あるいは現代日本語の調査などで使う用語であるかどうかは知らない。
まあ、私が齢をとったということなのであろう。
ら抜きはもうどうしようもなく拡がってしまい、うっかりすると自分でもつられて言ってしまい愕然とすることもある。また大阪から当地に移ってきた数十年前から耳障りで気になっているので、名古屋辯ではそれが元来正しいのかもしれない。
「とかとか」はこれは本来例示に使うべき「とか」を意味もなく附けることを指している。
*:一般的には「強烈な」という意味で用いる。 「手足をいっぱいに伸ばした」が原義(ラテン語起源)、多くの英和辞書で語義の末尾などに(米俗)として「いかす」(古う!)などと掲載されてはいる
あまらぼ鍋屋町
現在写真を扱えない状態なので暫くヴェイル・オヴ・レイドル鉄道をお休みしてほかの記事を書いていきます。
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