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2017年7月12日 (水)

ウォールデン 森の生活 (その1)

 

名作の片隅の鉄道情景(5-1

 

原書は”Walden, or Life in the Woods” by Henry D. Thoreau

 

19世紀アメリカの思想家・随筆家・博物学者であるヘンリー・デイヴィッド・ソロウの著作である。

 

環境保護の先駆けとも見做されているので、会社勤めでそれに関連する業務にも携わったころ、この本は読んでみたいとは思っていたが切っ掛けが無いままで、忘れはしないものの時間が過ぎてしまった。あまりにも有名なレイチェル・カーソン「沈黙の春」はそれ以前に読んだ。念のために申し添えるが両者の時代背景も、著者のスタンスや目指すところも全く異なる。

 

ある朝、目覚まし代わりのラジオで「森の生活」の中に鉄道のことも触れられていることを知った。まさか!である。遅くなったが読んでみようと調べてみると、邦訳がいくつもある。ネットで適当に買うわけにはいかない。数日後某大書店に行った際に見比べて購入した。訳文の出来栄えはかなりの差がある。良いほうでも残念ながら読みやすくない文章が混じる。どれとは言わないが選択しなかったものには、「陰干しにして煙草入れの緒〆(おじめ)にでも」と言われかねない鍋屋町の目で見てもチャンとした日本語になっていない文章が散見される。

 

アメリカでは高校生にも読ませるとも言われるので原文では難解な本ではないだろうが、日本語に訳しにくい英語なのだろう。また注を入れないと理解できない博物学的な事項が多く、歴史的、宗教的(聖書の引用など)背景を知らないと表面的理解に終わる事項もおとらず多い。

 

購入した訳書は 今泉吉晴訳 小学館、2004 である。最近文庫本がでた。早まった、残念。最終的に今泉訳を選んだのは、訳文の読みやすさの他には注を章末や巻末に纏めるのではなくそのページに載せてあり参照しやすいことがある。また私の特に苦手な動植物に関して注が相対的に充実していると思った。ただし、他の分野について餘計(はっきり言えば、そんなん当たり前ヤン!)と思える注も少し混じっている。また地図や挿絵も相対的に優れている。もう一つ良いと思ったが選ばなかった訳書について別途書きます。

 

ウォールデンというのは池の名である。米国マサチューセッツ州コンコード、ボストンの中心から西北西へ直線距離で20km餘りのところにある。

 

著者はずっと森の生活をしていたのかと想像していたのだが、実際にウォールデン池の畔に小屋を建て住んだのは2年餘りだけで、その後はまた街に戻っている(軟弱!?)。文明を拒絶したわけではない。

 

登場するフィッチバーグ鉄道Fitchburg Railroadは現在はMBTAMassachusetts Bay Transportation Authority:大雑把に言えばボストンの都市交通)のフィッチバーグ線となっている。この鉄道は当ブログで触れたhttp://dampflok.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/post-2162.htmlボストン・アンド・ローウェル鉄道Boston and Lowell Railroadの支線として建設されたCharlestown Branch Railroadに接続する形で会社が設立され建設が始まった。コンコードまで延長された、つまりウォールデン池のほとりを走り始めた、のは1844年でソロウが森の生活を始めた直前である。ちなみにソロウは工事関係者の小屋を購入して解体し、その木材を利用している。

 

背景説明だけで長くなりました。ソロウの鉄道への態度は次の記事にします。続く

 

あまらぼ鍋屋町

 

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